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『哀愁しんでれら』感想【ネタバレあり】

概要

シンデレラストーリーのその先を描く、禁断の“裏”おとぎ話サスペンス

主人公の小春を演じるのは、可憐な美しさの奥に秘めた芯の強さと、高い身体能力で、青春映画のヒロインを溌剌と演じてきた土屋太鳳。天真爛漫なイメージの強い彼女が、本作ではその真っ当さゆえに狂気に絡め取られる26歳の女性を演じ、新境地を開拓した。大悟に扮するのは、『おっさんずラブ』で大ブレイク以降、最も忙しい俳優として走り続けている田中圭。ルックス、財力、人当たりの良さ、社会的ステイタスのすべてを兼ね備えたパーフェクトな王子様がときおり見せる歪な気配をさりげなく増幅させて、スクリーンというキャンバスの上で作品の陰と陽を自由自在にコントロールする。ヒカリ役でスクリーンデビューを飾るのは、8歳で63万人以上のフォロワーをもち、国内外から注目を集めるファッションインスタグラマーのCOCO。芝居をするのは本作が初めてながら、少女の可愛らしさ、残酷さ、凶暴さ、愛くるしさを全力で表現し、強烈な存在感を残す。小春の妹を山田杏奈が、父を石橋凌が演じ、大悟の母に銀粉蝶が扮している。

キャスト

福浦小春:土屋太鳳

泉澤大悟:田中圭

泉澤ヒカリ:COCO

福浦千夏:山田杏奈

泉澤美智代:銀粉蝶

福浦正秋:石橋凌

簡易あらすじ【ネタバレあり】

児童相談所で働いている小春は、ある日虐待されている可能性がある家庭を訪問します。母親に対する対応でクレームを受け、上司に叱られた際、「子どもの将来は、母親の努力で決まる」という言葉をこぼします。実は小春には幼い頃母親が家を出ていくという過去があり、その時追いすがる小春に母が掛けたのは「あなたのお母さんはやめました」という言葉でした。そんな母を恨みながらも「あんな親にはなりたくない」という一心で生きています。

小春は、昔ながらの小さな⾃転⾞屋を営む⽗と祖⽗と妹の4⼈で、貧乏ながらも平穏な暮らしをしていました。しかし、祖父が風呂場で転倒したのを皮切りに父親の事故、実家の火災、恋人の浮気と、次から次へと不幸に見舞われます。そんなボロボロの彼女が踏切で倒れている男性を助けました。これが大悟との運命の出会いです。お礼をしたいと言い募る大悟に断る小春。去り際に名刺を渡され仕方なく受け取ります。

小春の父親は糖尿病を患っており、インシュリン注射をしています。「インスリンを1ml打つだけで、健康な人間も死んでしまう」と小春に話します。友人の後押しで、大悟に連絡を取る小春。大悟はシングルファーザーの開業医。8歳になる娘のヒカリがいます。母親代わりに妹の面倒を見ていた小春はヒカリともすぐに打ち解けます。大悟も小春の父親に就職先を紹介し、祖父の高額な入院費を負担し転院させ、さらに妹の家庭教師も買って出ます。小春にすっかり懐いたヒカリはクラスのワタル君が好きだとこっそり教えますが大悟には内緒にしてほしいと伝えます。祖父の入院先の医院長は、小春に大悟の元妻は酷い女だったと話しました。大悟は浜辺で小春に結婚の意思があるか問います。前向きな返事を窺わせるミュージカル風のダンスシーン(土屋さんはダンスが得意なことが窺われます)。ヒカリの誕生日を大悟の家で祝うことになりました。海に面した立派な戸建て。小春が用意したのは手作りの可愛らしい筆箱。受け取ったヒカリはとても喜びます。そして、その日のうちに結婚届を提出します。後日大悟の母親が入所している高級介護施設へと会いに行きますが、ヒカルの母親となることへの覚悟を突き付けられます。小春は覚悟はしていると伝えると、大悟の母も認めてくれました。こうして二人は教会で皆に祝福されながら結婚式を挙げました。

仕事を辞めた小春は、早起きしてヒカルのお弁当を作り、家の掃除をして2人の帰りを待っていましたが、ある日、鍵が掛かった部屋があることに気が付きました。そしてまたあくる日、その部屋の鍵が開いているのを確認すると、中へと入って行きました。薄暗い部屋の中には大悟が集めたと思われる少々不気味な物で溢れ返っていました。そこへ出かけたはずの大悟が戻ってきてこれらはすべて自分の宝物だと告げました。一方ヒカリは、小春が贈った筆箱をワタル君に取られたと話します。心配した二人は学校へ相談に行きますが、校医を務めている大悟は保険医とインフルエンザの予防接種の打ち合わせのため席を外します。その時に小春はヒカルの担任からお弁当を作ってあげてほしいと言われ戸惑います。その夜、ワタル君と母親が謝りに来ますが、ワタル君は自分が取ったことを認めませんでした。怪訝に思った小春は、大悟にヒカルが赤ちゃん返りをしているのではと、ワタル君を好きなことなども打ち明けるのですが、それをヒカルに聞かれているのでした。ある時小春は、結婚指輪が無いことに気が付きました。ヒカルのお弁当のおにぎりを握る時は外していたのです。家中探しても見つかりません。大悟に聞かれますが仕舞ってあると、とっさに嘘をついてしまいます。再び大悟の母を訪ねた小春は、大悟がいじめにあっていたことや大悟に手を上げてしまった過去を話します。家のトイレのつまりを直してもらった小春は修理業者から筆箱が詰まっていたことを明かされ衝撃を受け、海に投げ捨てるのでした。

ある日ヒカリはワタル君と仲の良いクルミちゃんが、窓際で机の上に立っているのを見かけます。教室にいるのは本を読んでいるクラスメイトの女の子がもう一人いるだけです。ヒカルが近づいたところで場面は変わり、小春はクルミちゃんが窓から転落し、亡くなったことを知らされます。通夜にヒカルを連れて行こうとしますが、赤い靴を履いたまま脱ごうとしません。参列者に批難の目で見られますがヒカルはニコニコとしています。その後も反抗的な態度を取り続けるヒカルに、小春は手を焼き大悟に再度相談しますが、聞く耳を持ってはくれませんでした。ある日、大悟の部屋で宝物のウサギのはく製を落としてしまい、耳を折ってしまいます。目撃したヒカルが騒ぎ立てるので、追い詰められていた小春は思わず頬をぶってしまいます。直後に抱きしめながら謝り、大悟には秘密にしてほしいと伝える小春にヒカルは頷きました。ところがヒカリは大悟に話してしまい、小春は「母親失格だ。出て行け」と責められ家を飛び出します。あれほどまでになりたくないと願っていた母親と同じになってしまいました。途方に暮れる小春は、線路の真ん中で倒れて身動きすらしません。大悟がそれを助け、家に連れて戻りました。そして小春の肖像画を大悟が描き、家族としてやり直す決意をするのでした。

あくる日ヒカルが泥だらけになって帰宅します。小春と大悟が学校に乗り込みますが、ワタル君に「ヒカルがクルミを突き落とした」と叫ばれてしまいます。そのうわさが流れると、家の壁には人殺しなどと落書きがされ、窓を投石で割られます。それでも小春はまだヒカルの為に何かできることが無いか考え、大悟に耳打ちをします。そして、予防接種当日に校医である大悟と、看護師に扮した小春が学校に来ます。予防接種が行われている最中に、クルミが転落死したときに同じ教室にいた少女が小春に手紙を渡します。

そこには「ヒカリちゃんは殺していない。みんなも知っている」とありましたが、小春はそれを読むとポケットにしまい込むのでした。子どもたちの遺体が学校中に横たわっている中、小春は大悟が見守りを受け、たった一人である生徒のヒカリに授業を行うのでした。

 

 

 

 

感想【ネタバレあり】

田中圭さんはドラマで何度か拝見していますが、さすがの演技力でした。鍛えた肉体の露出も多いのでファンの方は喜ばれるのではないでしょうか。土屋太鳳さんは女優として観るのは初めてでしたが、この役はとても彼女に合っていると感じました。娘としての健気さ、女性としての色気、妻としての気品、母としての優しさを内包しながら、狂気に行きつく様を上手に演じられていたと思います。COCOさん、演技は初めてとのことで驚きです。

全体的に、童話をモチーフとしたお話なので、音楽や構図などおとぎ話のような演出が施されています。なので、文字で表現されるより不気味さや凄惨さは緩和され、映像には美しさもあります。サスペンスとしては、最後まで観ても分からなかったところもあり、誰かと内容を共有して答え合わせしたり、考察したくなる映画です。とはいえ、賛否の分かれるラストであることは間違いないので、どなたにでもお勧めするわけではありません。大丈夫そうな方は是非おとぎ話の顛末をぜひ劇場でご覧になって欲しいです。